📋 事業報告書

先進地視察研修
報告書

農村RMOモデル形成支援事業
2025年10月視察研修

視察実施日
2025年10月20日(月)
10月21日(火)
参加者
田上吉美 大野隆男
日髙新次 塚田芳夫

📋 視察研修について

下塚田ふるさと応援隊は、地域活性化と持続可能な地域社会の実現を目指し、先進的な地域おこし事例の学習と研修を実施しています。

本報告書は、2025年10月20日(月)に鳥取県境港市の農業公社を、10月21日(火)に岡山県真庭市の吉縁起村を視察した際の成果をまとめたものです。

それぞれの地域における創意工夫や地域活性化の工夫から、下塚田地区での今後の活動に活かせる知見を得ることが目的です。

🏛️ 視察地①

鳥取県境港市農業公社

施設概要

一般財団法人境港市農業公社は、鳥取県西部の弓浜半島に位置し、江戸時代から続く伝統的な綿栽培事業を推進しています。同地区では、歴史的背景を踏まえた「伯州綿(はくしゅうめん)」の栽培・保存に取り組んでいます。

伯州綿事業について

伯州綿は、江戸時代に弓浜半島で栽培が始められた綿で、砂地で水はけが良い弓浜半島の土壌が綿づくりに適していました。最盛期には国内有数の綿の産地として発展し、全国で高く評価されていました。

明治時代の関税撤廃により安価な外国産綿に押され、国内綿栽培は衰退。現在、国内綿自給率はほぼ0%となっており、伯州綿は国指定の伝統工芸品「弓浜絣(ゆみはまかすり)」の原材料として保存されています。

視察のポイント

  • 伝統産業の保存と継承: 消滅危機にある伝統綿栽培を後世に伝えるための取り組み
  • 地域資源の活用: 地域特有の土壌と気候を活かした特産品の開発
  • 文化財としての価値: 伝統工芸品と連携した地域文化の保全
  • 組織体制: 農業公社による組織的な生産管理と販売戦略

伯州綿畑の様子

伯州綿畑の様子

一般財団法人 境港市農業公社事務所内での研修の様子

境港市農業公社での研修の様子1
境港市農業公社での研修の様子2
境港市農業公社での研修の様子3

🏘️ 視察地②

岡山県真庭市「吉縁起村」

地域おこし組織の概要

吉縁起村は、岡山県真庭市吉地区の住民有志で活動している地域おこしのグループです。2018年12月から活動を開始し、現在は真庭市および岡山県の補助金対象事業として認定されています。

吉地区には、「吉」(よし)、「相愛」(そうあい)、「真賀」(まが)、「嬉石」(うれし)、「寿老」(すろう)など、全国でも珍しい「めでたい」地名が昔から数多く存在しています。

活動拠点「立寄処(たちよりどころ)」

吉縁起村の活動拠点として2021年3月に「立寄処」がお披露目されました。店舗も併設されており、地域の方が育てた農作物や工芸品などが販売されています。

拠点は、地域の方々と吉地区を訪れた方の交流の場・憩いの場として活用されており、地域内外の人的ネットワークを広げる重要な役割を果たしています。

活動の3つの柱(目標)

  • 1.
    観光スポットの開発: 真庭市の北部・中部(蒜山、久世・勝山)と比較して、南部(落合)への観光客誘致が課題。吉縁起村を新たな「観光スポット」として位置づけ
  • 2.
    地域資源の発信: 珍しい「めでたい」地名と神社仏閣(吉八幡神社、法福寺など)の文化的価値を全国に発信
  • 3.
    地域活性化への貢献: 住民主体の取り組みを通じて、持続可能な地域社会の実現を目指す

視察のポイント

  • 住民主体の地域おこし: 行政だけに頼らず、住民有志による主体的な活動
  • 地域資源の創造的活用: 地名という無形資産を観光資源として活用するユニークな取り組み
  • 交流拠点の重要性: 立寄処を中心とした人的ネットワークの構築
  • 補助金制度の活用: 行政支援を戦略的に活用した事業化

吉縁起村「立寄処(たちよりどころ)」での視察の様子

活動拠点「立寄処」は、地域の方々と吉地区を訪れた方の交流の場・憩いの場として活用されており、店舗も併設され地域の農作物や工芸品などが販売されています。

吉縁起村立寄処での視察の様子1
吉縁起村立寄処での視察の様子2
吉縁起村立寄処での視察の様子3
吉縁起村立寄処での視察の様子4

💡 視察から得られた知見と提言

伝統と創新の融合

伯州綿の事例からは、消滅危機にある伝統産業を単なる文化遺産として保存するのではなく、伝統工芸品との連携など、現代的な価値創造と結びつける重要性を学びました。

下塚田地区でも、地域に根ざした文化や産業資源を発掘し、現代的な需要と結びつける工夫が求められます。

住民主体の地域づくり

吉縁起村の活動は、住民有志による自発的な地域おこしの好例です。行政支援を受けながらも、住民が主体となって地域の課題解決と活性化に取り組む姿勢が印象的でした。

下塚田ふるさと応援隊としても、このような住民主体のアプローチを強化していく必要があります。

地域資源の多角的活用

吉地区の「めでたい地名」という無形資産を観光資源として創造的に活用する事例は、従来の発想を超えた地域活性化アプローチです。

地域に眠る様々な資源(自然、文化、人材など)を多角的に掘り起こし、組み合わせて新たな価値を創造する視点が重要です。

交流拠点の構築

立寄処のような交流拠点は、地域内外の人的ネットワークを広げ、地域に新たな情報やアイディアをもたらす重要な役割を果たします。

下塚田地区でも、同様の交流拠点の構築を検討する価値があります。

🚀 今後の方向性

今回の視察を通じて、下塚田ふるさと応援隊の今後の活動に以下の点を重視したいと考えます。

  • 地域の伝統的な産業・文化資源の調査と記録
  • 住民参加型の地域資源活用プロジェクトの立案
  • 交流拠点やネットワーク構築の検討
  • 行政や関係機関との連携強化
  • 地域内外への情報発信の充実