農村RMO事業

しって米(後穂米)

2024-11-28
Shitte kome

しって米(後穂米):地域資源活用による収穫実証実験


 農林水産省の発表資料 によると2024年産の10月のコメの「相対取引価格」は、全銘柄平均で2万3820円/玄米60kgでした。9月の2万2,700円をさらに上回り、いまの調査を開始した2006年産以降、過去最高となりました。記録的な冷夏で「平成の米騒動」と呼ばれた1993(平成5)年以来、31年ぶりの高水準という事です。

 超早場米の収穫(7月頃)が終わった後、切り株から勝手に稲が生えてきた二番米のことを当地では、「しって米(後穂米:全国共通の言葉ではないようです)」と呼んでいます。雑草も生え放題で、背丈は通常の稲よりも低く、40〜50センチぐらいでしょうか?

 米の質がいいからと、すし屋さんが買いに来るという「しって米(後穂米)」ですが、当地区では、二期作で耕作していた頃と違って、早期水筒の収穫が終わる7月下旬から翌年の2月頃までの半年間、休耕状態にあります。

 米の取引価格が高騰してきた事を受け、「しって米(後穂米)」が地域資源として有効活用できないかとの提案に基づき、実証試験として収穫を行なってみる事となりました。

 「しって米(後穂米)」の収穫量は、地区の古老に聴いたところ、通常の水稲の20〜30%位だという事です。本(2024)年刈り取りを予定していた圃場は、10月21日からの大雨(100mm/hの豪雨)による冠水被害があり、収量の低下が心配されたが、籾の状態で8俵弱という結果でした。

 今回収穫された「しって米(後穂米)」は、乾燥、選別、精米、再選別されます。食味等を吟味するために、組織構成員や地区の住民に配布し味わってもらう事になります。

 当地では、稲や麦の収穫に 使われる「自脱型コンバイン」しか無く、「しって米(後穂米)」のように背丈の低い収穫には不向きです。今回の実証試験においては、三股町の農家さんの応援(委託)により、稲・麦・大豆、そば、小豆、菜種や雑穀など幅広い作物に対応する「普通型(汎用)コンバイン」で収穫作業を行なった。


乾燥・精米・再選別を経て、食味試験へ

 収穫から約2か月が経過した2025(令和7)年2月、乾燥・籾摺り・精米・再選別の全工程が完了し、食味試験用の「シッテ米(後穂米)」が仕上がった。

しって米の精米に使用した精米機
精米機(地区内農家の設備を使用)
精米後にクラフト紙袋に詰めたシッテ米
精米・再選別後、配布を待つシッテ米

 精米には地区内農家の設備を借用し、収穫した後穂米を順次、籾摺り・精米・再選別の各工程にかけた。精米後はクラフト紙製の米袋に詰め、パレットへ積み上げた状態で配布を待つこととなった。


常幡水利組合の関係者、20名以上に配布

 食味試験の評価者として白羽の矢が立ったのは、下塚田地区の圃場管理を担う「常幡水利組合」の関係者である。同組合は地区内の農業用水路・圃場の維持管理を担う組織で、構成員は長年にわたる稲作経験を持つ農家・地区代表者で占められている。米の食味・品質を判断する目利きとして、最適な評価者と判断した。

 配布管理には「食味試験用『シッテ米』配布チェック表」を作成し、区域番号ごとに整理した名簿に基づき手渡しを実施。3つの班(各班7区域)で構成される20名以上の関係者へ届けた。


令和6年度 実証試験の総括と今後の可能性

 2024(令和6)年11月の収穫から、2025年2月の精米・配布まで、一連のプロセスを通じ「しって米(後穂米)」を地域資源として活用する令和6年度の実証試験が完了した。食味の感想や評価については個別の聞き取りにとどまり、集計・数値化は行っていないが、20名以上の関係者の食卓に「しって米(後穂米)」が届いたことに、今年度の実証としての意義がある。

 収穫量については、10月21日に発生した大雨(100mm/h規模の豪雨)による圃場冠水の影響で低下が懸念されたが、籾の状態で8俵弱を確保。精米後も相応の数量を仕上げることができた。

 今後の課題としては、①「普通型(汎用)コンバイン」の委託先の安定的な確保、②豪雨・冠水リスクへの圃場対策、③常幡水利組合の皆さんによる食味評価を踏まえた販路の検討、の3点が挙げられる。超早場米の収穫後に休耕状態が続く下塚田地区の田が、将来的に新たな農業収入の源となるか——令和7年度も引き続き実証を重ねていく。