選句と選評

百年笑顔の一句

第3回

受付日(回収): 2026年8月20日 選句日: 2026年8月24日 投句者数: 7名 総句数: 48句

選者について

選は、地域に根ざした複数の選者が持ち回りで担当します。本事業は技巧の巧拙を競うのではなく、暮らしの手触りを大切にする趣旨のため、選者の氏名は公表せず、選の言葉のみをお届けします。

Saiyusyu

最優秀賞

花がさく 昔いどばた 今サロン ★最優秀

わわわ

この企画の趣旨に、最も深く応える一句と考えました。「人生百年、暮らしの一句」——暮らしの移り変わりを、これほど短く、あたたかく、鮮やかに言い切った句はありません。かつて井戸端で交わされた立ち話が、今は「サロン」という新しい集いに姿を変えている。その変化を嘆くのでも懐かしむのでもなく、「花がさく」と肯定的に受け止めているところに、作者の朗らかで前向きな人柄がにじみます。地域の暮らしが確かに続いていること、人が集い語らう営みは形を変えても絶えないこと——それを一句で証明してみせた。技巧を超えて、暮らしそのものが咲いています。文句なしの最優秀賞です。

Tokubetsu

特別選定

山里の たき火でかたる 三老女 三老女賞

わわわ

この一句は、まさに「百年笑顔の一句」の会そのものを詠んだ景です。山里で焚き火を囲み、語り合う三人の女性たち。飾らない「三老女」という言葉に、自らを笑いながらも人生を楽しみ尽くす、たくましさと温かさが宿ります。仲間と過ごす時間の豊かさ、この地に生きる喜びが、火の明るさとともに立ちのぼる。企画の精神を体現する一句として、特別に選ばせていただきました。

送り火に 声にあしおと 風にのせ 送り火賞

らん

亡き人を送る心が、これほど静かに、美しく形になった句は稀です。送り火に託すのが「声」と「足音」——姿は見えずとも、確かにそこにあった人の気配を、風にのせて見送る。悲しみを声高に語らず、そっと風に委ねる抑制が、かえって深い情感を呼びます。暮らしの中の祈りの時間を、丁寧にすくい取った一句として選びました。

All Entries

全投句

投句者ごとに、通し番号順で掲載しています。

老女(3句)

あじさいに 誘われ歩く 三千歩

老女

大空や 雲の駆けっこ 猛暑なり

老女

久々の 雨に嬉しや 夏木立

老女

のりうつぎ(3句)

夏深し 紅うすくして 食事会

のりうつぎ

うちわ手に 灯火へ友と 土よう月に

のりうつぎ

車にて 一しゅんの夢 わー たまや

のりうつぎ

わわわ(15句)

亀せんを 年よりせんべい 孫はいう

わわわ

友と行く 買物ツアー これ楽し

わわわ

その内と いいわけしてて ひがくれる

わわわ

夏の夜に 寝ぐるしすぎて はいくよむ

わわわ

このあつさ 熊本地震 声も出ず

わわわ

こんなにも ひでりがつづき なんのバツ

わわわ

夏下着 くっつきすぎて はなれない

わわわ

ベッド上 じんとり合戦 ねこのかち

わわわ

これでもか せみと耳鳴り ハーモニー

わわわ

こいこがれ またせすぎだぞ 雨やこい

わわわ

こくしょ日は せみのなく声 よわよわし

わわわ

花がさく 昔いどばた 今サロン ★最優秀

わわわ

うるさすぎ 耳なりのような せみの声

わわわ

せみのこえ いいかげんにせよ あつさます

わわわ

山里の たき火でかたる 三老女 三老女賞

わわわ

らん(5句)

セミが鳴く アスファルトの 照り返し

らん

ひ孫抱き すくすく育てと 願いつつ

らん

ホトトギス 鳴ってどこゆく 真夜中に

らん

ゆりかごに ツルよ重たし 棚スイカ

らん

送り火に 声にあしおと 風にのせ 送り火賞

らん

み(5句)

わが庭に 夕顔咲きし 雅かな

み

さん婆が 灯火にむかえば 俳徊か

み

朝畑 メダル獲得 どの猪か

み

加えたり 狭搾症も わが友へ

み

よいの明星 みつけし さん婆 はしゃぎくる

み

時の旅人(1句)

新盆の 松の送り火 家族の輪

時の旅人オンライン投句

順(16句)

あかとんぼ 旅の散策 何を観る

順

来夏を 自分を計る 今の汗

順

墓掃除 立秋の日 汗流し

順

ご先祖に ぽたぽた流し 合わせる手

順

青い柚子 台風みやげ 香り魚

順

常識 今良識 目に汗

順

じゅず珠 はしゃぎ玉入れ 出番待ち

順

橋の日 つなぐ人の輪 今もあり

順

一匹蚊 風なし深夜 静寂

順

赤とんぼ 先祖さま達 導いて

順

お迎え火 多くの先祖 ひとり待つ

順

遠い川 長い夏休み 細田川

順

急ぐ者 急がない者 雲は急ぐ

順

リヤかーで 籾米渡る 塚田橋

順

彼岸花 つぼみつけ立ち 秋さそう

順

ブルーベリー 父の思いの 贈り物

順