はじめに
下塚田地区では、地域の環境保全と暮らしの支え合いを目的に、2020年度より「下塚田ふるさと応援隊」が活動を続けています。
道路沿いの草刈り、斜面の管理、空き家周辺の整備など、地域の安全と景観を守るための作業は、これまで地域の力によって支えられてきました。
しかし、人口122名(68世帯)、高齢化率63.11%という地域構造の中で、草刈り作業の負担は年々増加しています。特に、斜面やのり面といった危険を伴う作業では、次のような現場の声が聞かれます。
「安全にやれる人がいなくなってきている」
― 草刈り作業の現場より
この言葉は、下塚田でも同じ課題が進行していることを示しています。本ページでは、草刈り作業の現状と課題を整理し、地域全体で危機感を共有するための「問題提起」を目的として情報をまとめています。
122名
地区人口
63%
高齢化率
19名
応援隊構成員
65歳
応援隊平均年齢
草刈り作業の現状
1 年間の作業回数と担当範囲
地区全体の草刈り
年 1 回
応援隊による草刈り
年 4回以上
応援隊は、道路沿い・斜面・のり面・空き家周辺・農地周辺など、地域の広範囲を担当しています。作業は公共事業の報償費とボランティア活動によって支えられています。
2 応援隊の構成と年齢構造
構成員数
19 名
平均年齢
65 歳
高齢化が進む中で、危険作業を担える人材は限られています。特に斜面作業は体力・バランス感覚が求められ、年齢とともに負担が増します。
3 斜面・のり面などの危険作業の実態
斜面での草刈りは、足場が不安定で転倒・滑落のリスクが常に伴います。現場では、体を斜面に預けながら踏ん張る必要があり、作業負荷は高いものです。
― 応援隊メンバーの作業記録より
現場から見える課題
安全性の低下(危険作業の増加)
高齢化により、危険作業を安全に行える人材が減少しています。作業の難易度は変わらない一方で、担い手の体力は年々低下しており、事故リスクが高まっています。世羅町のシルバー人材センターでも、斜面の草刈りのような危険を伴う作業は断られるケースが増えているといいます。
担い手の減少と高齢化
若年層の流出により、新たな担い手の確保が難しい状況です。応援隊の平均年齢65歳という構造は、将来的な持続性に大きな課題を残しています。問題は「やる人がいない」のではなく、「安全にやれる人がいなくなってきている」ことにあります。
作業量の増加(空き家・耕作放棄地)
空き家や耕作放棄地の増加により、草刈り対象は年々拡大しています。地域の環境保全に必要な作業量は増加し続けているにもかかわらず、担い手は減少の一途です。
ボランティア依存による負担の偏り
草刈り作業は、公共事業の報償費とボランティア活動に依存しています。作業頻度が増えるほど、特定のメンバーに負担が集中する傾向があり、持続可能な体制とは言いにくい状況です。
将来予測とリスク
現状が続いた場合に予測される影響
危険作業を担える人材の減少
現状のままでは、斜面作業などの危険作業を担える人材がさらに減少することが予測されます。
草刈り作業の維持困難化
年4回以上の草刈り作業を維持することが難しくなり、将来的には地区全体の草刈り(年1回)すら実施が困難になる可能性があります。
地域環境・景観への影響
草刈りが行き届かなくなると、景観の悪化だけでなく、道路の見通しの悪化や害獣の増加など、安全面にも影響が出ます。
地域行事・公共事業への波及リスク
草刈り作業の維持が困難になると、地域行事や公共事業の運営にも影響が及びます。地域の基盤そのものが揺らぐ可能性があります。
問題提起 ― 今のままでは持続できない
現状が示す「限界」の兆候
- 高齢化率 63.11%
- 応援隊平均年齢 65歳
- 危険作業の担い手減少
- 作業量の増加(空き家・耕作放棄地)
- ボランティア依存の構造
これらの要素が重なり、草刈り作業の持続可能性は急速に低下しています。
「少しずつ後回しにされて、気づいた時には
『もう誰もできない』状態になる。」
― 現場の声(草刈り作業の記録より)
この言葉は、下塚田の未来にも当てはまる可能性があります。草刈り作業は地域の基盤であり、その維持が難しくなることは地域の未来に直結する問題です。
今後の検討方向
地域の実情に応じて検討すべき方向性です。これらはまだ検討段階であり、地域全体での議論と合意が必要です。
危険作業の外部委託・仕組み化
斜面・のり面などの高リスク作業を、専門業者や近隣組織への外部委託として仕組み化することを検討します。
作業頻度・範囲の見直し
担い手の実情に合わせて、作業頻度や担当エリアの優先順位を見直し、無理のない体制を整えます。
若手参加の促進と育成
地域外の若者や学生、移住者など、新しい担い手の参加を促進し、技術・経験の継承を進めます。
機械化・省力化の可能性
ロボット草刈り機や無人機(ドローン)など、技術的な省力化・機械化の導入可能性を検討します。
広域連携・RMOモデルの検討
近隣地域や農村RMOのネットワークを活用した広域連携により、担い手の確保と作業の効率化を図ります。
おわりに
地域の未来を守るために
草刈り作業は、地域の景観と安全を守る基盤です。しかし、その基盤を支える人材が減少し、安全性が低下している現状は、地域の未来に大きな影響を与えます。
課題共有から始まる次の一歩
本報告書が、地域全体で現状を共有し、課題解決に向けた議論と行動のきっかけとなることを願っています。今、地域全体で課題を共有し、将来に向けて議論を始めることが求められています。
草刈り作業は、地域の景観を守るだけでなく、道路の安全性や生活環境の維持にも直結する重要な活動です。
本報告書が、下塚田の未来を守るための第一歩となり、地域の皆さんとともに、持続可能な仕組みづくりへ進むきっかけとなれば幸いです。
― 下塚田ふるさと応援隊